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仙台地方裁判所 昭和53年(ワ)334号 判決

原告

大槻壽子

右訴訟代理人

清藤恭雄

佐川房子

被告

株式会社河北新報社

右代表者

佐藤剛彦

右訴訟代理人

三島卓郎

主文

原告が被告の普通社員としての地位を有することを確認する。

被告は、原告に対し、金一七七二万五一九九円及びこれに対する昭和五八年七月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  申立

一原告

1  原告が被告の普通社員としての地位を有することを確認する。

2  被告は原告に対し金二八六三万六七一三円及びこれに対する昭和五八年七月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  仮執行宣言。

二被告

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

3  予備的に仮執行免脱宣言。

4  なお原告は、当初差額賃金二三六三万六七一三円の支払を求め、後に債務不履行又は不法行為に基づく損害金二八六三万六七一三円の支払を求める請求を追加したが、両者は請求の基礎の同一性を欠くから、右追加は許されない。

第二  主張

一  請求原因

1  当事者

被告は、仙台市に本店を置き、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行及びこれに関連する事業の経営を目的とする会社であり、原告は被告に雇用されている女子従業員である。

なお、原告は、被告の従業員で組織する河北新報労働組合(以下「組合」という。)の組合員である。

2雇用契約の締結

原告は昭和二一年四月被告に準社員として雇用され、昭和二六年六月一日社規改正により社員となり、昭和四〇年九月一一日就業規則改正により普通社員となつた。

3雇用契約存在についての争い

被告は、原告が昭和四六年三月三一日定年で解雇され、同年五月一日被告に二号嘱託として雇用されたと主張し、原告が被告の普通社員であることを争つている。

なお、二号嘱託とは、定年解雇された女子を再雇用するもので、賃金が定年退職時の約六割で、社員の就業規則が適用されず、嘱託、特定従業員就業規定(昭和四六年当時は特定従業員就業規定)が適用される。

4未払賃金等

原告は、被告によつて、後記のとおり公序良俗に違反して無効である被告の女子定年に関する就業規則に基づいて定年解雇されたものとして取扱われたから、被告に対し、次の未払賃金等の支払を求める権利を有する。

(一) 原告の昭和四六年四月以降の普通社員としての給料、賞与及び一時金は別紙(一)賃金計算書の普通社員欄記載のとおりである。昇給率及び賞与等の支給率は別紙(三)記載のとおりである。

(二) 原告が同年五月以降被告から支払を受けた給料、賞与及び一時金は同計算書の二号嘱託欄記載のとおりである。

(三) 原告が支払を受けていない給料等は同計算書の差額欄記載のとおり合計金二三六三万六七一三円となる。

5被告の損害賠償責任

(債務不履行)

被告は、原告に対し、昭和四六年四月一日以降も従前どおり社員としての労働条件で処遇すべき労働契約上の義務を負うものであるところ、右義務に違反し、同月一日から同月三〇日までの間賃金を支払わない等社員として取扱わず、同年五月一日から今日に至るまでは二号嘱託として賃金を社員のそれよりも減額したほか、有給休暇、雇用契約期間等社員よりも劣悪な労働条件で取扱いをしたという被告の責に帰すべき事由による債務不履行の結果、原告に対し後記の損害を与えた。

(不法行為)

被告は、原告に対し、後記のように、故意または過失により、憲法一四条、労基法三条、四条の趣旨に違反した不法かつ違法な男女差別による不利益取扱を行なつたものであり、これにより原告の被告の社員としての労働条件で雇用されるべき権利を侵害し、その結果原告に対し後記の損害を与えた。

6損害 金二八六三万六七一三円

(一) 差額賃金相当損害 金二三六三万六七一三円

原告は、昭和四六年四月一日以降も被告の社員として就労する意思・能力を有していたにもかかわらず、同年四月一日から同月三〇日までの間賃金を支給されず、同年五月一日以降も二号嘱託として減額された賃金しか支給されていない。

従つて、原告は、同年四月一日以降現在まで、社員として支払を受けたであろう賃金(賞与も含む)と現に受けたそれとの前記差額額を損害賠償として請求できる。

(二) 慰藉料 金三〇〇万円

原告は、昭和四六年三月三一日、女子差別定年解雇された以後今日に至るまで前記のとおり長期間にわたり、被告の違法な差別取扱を受けてきたものであり、これにより原告が蒙つた精神的苦痛を慰藉するには慰藉料三〇〇万円をもつて相当とする。

(三) 弁護士費用 金二〇〇万円

原告は、被告に対し社員として取扱うよう要求したが、被告が応じなかつたため、訴訟代理人として弁護士に本訴の提起・追行を委任したが、その手続費用等弁護士費用は二〇〇万円をもつて相当とし、これは被告の原告に対する違法な男女差別定年制に基づき原告を差別的に取扱つたことと相当因果関係のある損害である。

よつて、原告は、原告が被告の社員であることの確認と、被告に対し損害賠償金(択一的に一部差額賃金として)として二八六三万六七一三円とこれに対する履行期の後である昭和五八年七月一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1請求原因1ないし3の各事実は認める。

2同4ないし6の各事実は争う。

但し、原告が二号嘱託として被告から支払われた賃金(嘱託料)の月額が別表(一)記載のとおりであること、昭和四六年六月、同年一二月、昭和四七年六月各普通社員支給の一時金の支給率、昭和五八年六月普通社員支給の賞与の支給率が別紙(三)記載のとおりであることは認める。

3仮に、普通社員としての原告の給与が上がるとしても、原告主張のように、平均昇給率を従来の給与額に乗して、昇給額を算出するのは不当である。即ち、各人ごとの具体的昇給額は、その年令や家族構成等に基づき、被告と組合とが取り決めたところにしたがつて算出される。また、定期昇給の査定部分が平均額だけ昇給するとは限らず、第二本俸は五四才以降頭打ちになる。

三  抗弁

1定年解雇

(一) 昭和四六年三月当時の被告の就業規則(以下「本件就業規則」という。)には、女子の定年を満四五才とし、発令日は満年令に達した直後の三月三一日とする、社員が定年に達したときは退社する旨規定されている(同規則三七条、三八条)。

(二) 原告は、大正一四年一〇月一一日生れであるから、昭和四五年一〇月一〇日の経過で定年に達し、昭和四六年三月一日被告から「定年により退社する」旨の辞令の交付を受け、解雇された。

2帰責事由の不存在

被告は、後記のとおり、昭和二九年四月一日、職種、慣行等を斟酌して、組合との間で締結された労働協約(以下「二九年協約」という。)に定められた定年に基づいて、女子の定年を満四五才と定め、昭和四一年六月二〇日組合との間で締結された労働協約(以下「四一年協約」という。)により二号嘱託制度を設け、これらの諸規定により原告を二号嘱託として処遇しているのであるから、債務不履行につき帰責事由がない。

3差額賃金請求権の消滅時効(仮定的抗弁)

(一) 原告の昭和四六年四月分から昭和五一年二月分までの各差額賃金請求権はいずれも本訴が提起された昭和五三年三月三一日以前に二年の経過をもつて昭和五一年三月分から昭和五三年三月分までの各差額賃金請求権の内昭和五七年一一月一〇日付書面で請求を拡張した各部分(別紙(一)記載の各差額金から別紙(二)の各該当欄記載の差額金を控除した部分)及び昭和五三年四月分から昭和五五年一〇月分までの各差額賃金請求権はいずれも右請求拡張日までに二年の経過をもつて、それぞれ時効により消滅した。

(二) 被告は昭和五七年一一月一七日本件第一九回口頭弁論期日において、右消滅時効を援用する旨の意思表示をした。

4損害賠償請求権の消滅時効(仮定的抗弁)

(一) 原告主張の損害賠償請求権は、被告が原告を昭和四六年三月三一日定年解雇したものと取扱い、同年五月一日付をもつて二号嘱託として再雇用したことを不当として争われているものであるから、同年四月一日又は同年五月二日から起算して三年(不法行為)又は一〇年(債務不履行)の経過をもつて時効により消滅した。

(二) 被告は昭和五八年七月六日本件第二二回口頭弁論期日において、右消滅時効を援用する旨の意思表示をした。

5過失相殺

仮に原告主張の債務不履行や不法行為の主張が認められるとしても、原告には、後記六の1のように右債務不履行を承認し、助長する言動があつたから、過失があり、その賠償額は大幅に相殺されるべきである。

6賃金請求権行使の濫用

原告は、また、前記のように昭和四六年四月一日以降同年四月末までの期間は就労せず、同年五月一日以降も二号嘱託として、作業量が少く職責も軽い業務に従事していたにすぎない(しかも、その間、そのような取扱いについて異議苦情を申立てたことは、本件訴を提起した以外に、一切なかつた)にもかかわらず、本件において昭和四六年四月一日以降も社員であつたものとして賃金差額の請求をしている。

しかし、賃金は、あくまで提供する労務の対価であり、労務の質及び量と相関々係にあるものであるから、原告が右のような労務提供の実態であつたにもかかわらず、しかも自ら何等の異議苦情も申立てずにそのような労務を提供し続けながら(なお、昭和四六年四月には労務提供を行なわなかつたにもかかわらず)右のような請求を行うことは、前記のように信義則違反等に当るばかりでなく不当な利得を求めようとするものであり、民法第七〇三条以下の規定が不当利得について返還義務を定めている趣旨に徴し、許されないものと言わざるを得ない。

四  抗弁に対する認否

1抗弁1の事実は認める。

2同2の事実中、被告主張の二九年協約に女子定年が満四五才と定められ、これに基づき本件就業規則に同旨の定めがなされたこと、被告が四一年協約により二号嘱託制度を設け、原告をその主張のように二号嘱託として取扱つてきたことは認めるが、その余は争う。

3抗弁3ないし6の主張は争う。

五  再抗弁

1本件就業規則三七条の無効

(一) 被告の本件就業規則三七条には、女子の定年を満四五才と定めているのに対し、男子の定年を満五五才と定めている。

これは性別のみを理由として女子従業員を男子従業員と差別するものであるから、憲法一四条、労基法三条、四条に違反し、民法九〇条により無効である。

(二) 被告の主張に対する反論

被告の差別定年制の非合理性

被告は、被告が新聞業という特殊の業務を業としていて、女性には適さない業務が多い事を、昭和四六年当時、男子五五才、女子四五才の差別定年制が民法九〇条に抵触しなかつた理由の一つとしてあげている。

(1) なる程、新聞事業においては、その業務の性質上別の業務を目的とする他の会社と異なる点があるであろう。営業の内容、目的が異なれば、それに応じて、ある特定の業務ないし職種に従事する従業員を必要とすることは当然のことである。

しかるに、被告は、新聞業界全体があたかも特殊な業務ばかりを行つているように、その特殊性を強調するが、そもそも、原告は、事務職員として採用されているところ、被告にも一般事務職員は多数居り、しかも、採用の段階から、事務職は事務職として採用され、一般事務から報道関係、或いは工務職に移るような異種配転は殆どなく、その一般事務として採用された者は、男女とも同じ内容の仕事を平等にしていて、女性に適さない仕事は一般職では殆んどない。

しかも、被告の女子従業員の圧倒的多数は、事務職員である。ちなみに昭和五二年現在、被告の各局部の女子の数は、編集局学芸部三名、制作局文選部二名、同整備部五名、販売局第二部一名、同発送部一名、広告局内務部七名、同外務部一名、総務部六名、同経理部一名、同資材部一名、同厚生部一名、同電算部四名、開発局営業庶務部五名、文書局秘書部一名、同人事部一名、同審査部一名、その他東京支社四名、大阪支社一名、東北支社に各一名、石巻支局一名であり、右に述べたとおり各分野で男子と同じ業務ないし職種に従事しているが、女子が男子と同じ業務についていたことは昭和四六年三月当時も変りなかつた。

被告は、その業務の特殊性を強調し、特に中、高年女性には適さない業務が少なくないというが、そもそも被告で働いている女子は、四〇代の者が最も多いこと、また、すでに昭和四一年一月当時、女子五名が永年勤続ないしは二五年勤続者として表彰されていること、他方被告を除く新聞業界では、早くから男女同一定年をしいていたことなどからも、その主張は事実に反すること明白である。

(2) 次に、被告は、印刷部門以外でも、昼夜をわかたず深夜業務が日常化していると主張するが、被告内にある種々の部局の中で事務職男子の場合には、編集局、制作局、販売局の発送部以外は深夜業は行つていない。

また、仮りに被告の業務ないし職種の一部に深夜業務があり、女子労働者をそれに就労させることができないとしても、それは、使用者において法律上当然に受忍すべきものであり、これをもつて女子には適さない仕事が多いということはできない。

(3) 被告は、出張・転勤があることも女子には適さない仕事である理由としているが、出張については、原告は事務職員であり、取材記者のように方方に出張しないことは当然であるが、一般事務職員としては女子従業員も同じ様に出張しており、原告も経理部所属時、販売店に新聞代金集金の為、市外では石巻市、古川市、若柳町、志津川町に出向いたり、また、会計照合の為、東京等県外の支社に年二回程出張していた。また、女子従業員でも本社から東京支社へ転勤させられるなど、転勤の例もあるのである。

(4) もし、被告の主張の如く、女子には適さない業務が多かつたならば、なぜ他社では早く男女同一定年制をしいていたのであろうか。すでに昭和三九年当時において、新聞労連加盟の新聞社において差別定年をとつている所は全国でも高知新聞と被告の二社だけであり、東北では被告だけであつた。

以上述べたことを総合するならば、昼夜をわかたず、取材等を行わねばならないため、深夜業務や体力を必要とする業務等が日常化しているため女性には適さない業務が多いという被告の主張は全く事実に反すること明白である。

(5) 次に被告は、被告では昭和一四年頃「社規」において男子五五才、女子三五才の定年制を定めたが、昭和一八年一一月、女子の定年が四〇才に延長されたのは、出征等にともなう男子従業員の不足を女子で補う必要があつたこと、二九年協約の中で、女子の定年は四五才とされ、ついで同年七月一日、本件就業規則においても男子五五才、女子四五才と定年を定めたが、それは、前記のような女性には適さないという業務の性質や、三五才位で任意退職するという女子従業員の勤務の状況に基づくものであり、労働組合によつても当然のこととして認識され、そのことは昭和四六年三月当時も変りなかつた旨主張する。

しかしながら、出征等に伴う男子従業員の不足を女子で補つたということは、とりもなおさず、女子も男子と同様の仕事ができたことを示すものであり、女子には適さない仕事が多いとは言えない。

また、二九年協約の中で、女子の定年が四五才とされたということについては、協約はもともと、労使間の妥協の産物であるところ、昭和二五年頃からのレッド・パージの影響等により、組合そのものが弱体化しており被告と対等に交渉できない面があつたこと、また、当時の組合の執行部が定年制について特に女子の意見を聴取することなく、昭和二九年までの定年四〇才を五才位延長してやればよい、という安易な考えで協約案を作つたものであり、当時においても男子と女子の定年を別異にする合理的理由は全く存在しなかつた。

そもそも労働協約によつて、私法上の労働契約の性格を変ずるものではなく、このことによつて合理的理由のない性別による差別が許されることにはならないのである。

(6) 他社の状況についてみると、昭和四〇年二月現在においてさえ、読売新聞三〇才代六七名、四〇才以上四五才未満四一名、四五才以上七名で、二〇才代三九名をはるかに上回つていること、共同通信においても、四〇才以上の女性三三名と二〇代三〇名を上回つていること、いずれも四〇才以上の女性従業員が多数いたこと、最高令者は、信毎新聞五三才、読売新聞五二才、岩手日報五一才、共同通信五五才、デーリー東北五七才、京都五七才と、三五才を過ぎた女性が多く勤務していたことが明らかである。

(7) 以上の事実を見るならば、女性が三五才で任意退職するのが通常であつた等、とうてい言えないことは明らかであろう。

仮りに百歩譲り、女子労働者が一般的に短期勤続だとしても、長期勤続の意思・意欲を有する女子も含めて、一律四五才の定年制を強いることは女子に対する合理的理由なき差別である。また、仮りに被告のいうように女子が四五才を過ぎてまで勤務することが一般的にまれであつたとしても、このことは定年制が設けられる目的ないし理由とは全く関係ないことである。

(8) 被告は昭和五〇年四月男女とも定年五八才に改めた(但し、経過規定があり、女子の場合は、昭和五〇年四月現在で五〇才とし、それ以降毎年四月一日付をもつて六か月づつ延長される。)。

被告は、男女同一定年制に踏み切つた理由として、年功賃金体系に職能給を加味した新しい賃金体系に移行する見とおしがついた旨主張するが、年功賃金体系是正の問題と男女同一定年制のそれとは直接かかわりのない問題である。

被告は第二の理由として新聞制作技術が大変革をして、女子の加令による能力低下が別の機械に代置できるようになつた旨主張するが、被告における女子従業員の職種は重労働に限られるのではなく、事務職が圧倒的多数であつた。

以上のとおりであつて、被告は二号嘱託制度を取り入れたり、男女差別定年制を昭和五二年七月まで維持する合理的理由は全くない。

なお、原告の職務は別紙(四)原告主張欄記載のとおりであり、二号嘱託制度の内容は被告主張のとおりである。

2消滅時効の援用の濫用(仮定的再抗弁)

被告は、原告に対し、公序良俗に違反する差別定年制を適用し、昭和四六年四月以降現在まで一〇数年にわたり差別的取扱いをしてきたのであるから、原告の差額賃金請求権、損害賠償請求権につき消滅時効の援用を認めることは、被告の違法行為を容認する結果となり、許されない。

六  再抗弁に対する認否

1(一)  再抗弁1の(一)の事実の内原告主張の如き規定のあつたことは認めるが、その余は争う。

(二)  本件就業規則の規定は、次のとおり合理的理由があるから、有効である。

(1) 新聞事業の業務の性質

新聞事業においては、その業務の性質上、一定の時刻に記事を締切つた後、夜間に版を組み、印刷し、未明に発送、運搬を終え、早期の配達に間に合わせざるを得ないため、印刷関係部門等では深夜業務が当然のこととなつているばかりでなく、その余の部門でも、昼夜をわかたず取材等を行わねばならないため、深夜業務や体力を必要とする業務等が日常化しており、また、支局、通信部等、広範な取材綱をカバーするため、転勤や出張が少くなく、しかも、その対象が大都市から山村、僻地にまで及ぶ、など、女子、特に中年過ぎの女子には適さない業務が少くない。

なお、原告の入社後の職務等は別紙(四)の被告主張欄記載のとおりである。

(2) 被告における慣行等

被告では有限会社に組織を改める以前は昭和一四年一一月まで男女とも定年の定めがなかつたが、男子が五五才乃至六〇才で任意に退職するのが例となつていたのに対し、女子は三五才乃至四〇才で任意退職するのが例であつた。

而して、同社は昭和一四年一一月就業に関する社内規定を「社規」として定め、その中に定年に関する規定を設けたが、その際、男子の定年を五五才、女子の定年を三五才と定めたのは、前記のような業務の性質、任意退職の状況等にかんがみてのことであつた。

前記のように昭和一七年一二月八日、有限会社に組織を改めるに先だち、同年一二月一日、従来の河北新報社の従業員は退職金の支払を受けていつたん退職したが、すべて新会社に再雇用され、社規も新会社に承継された。昭和一八年一一月女子の定年を四〇才に延長した。これは出征した男子従業員の不足を補つためであつた。

(3) 組合との協議等

昭和二〇年一二月二九日被告に労働組合が結成され、二九年協約の中で、女子従業員の定年は四五才とする旨定められた。

そして、右協約の定年に関する定めは、その後まもなく、同年七月一日被告が就業規則を全面的に改正、整備した際、同規則にもとり入れられ、本件就業規則においても、定年につき男子五五才、女子四五才と定められることとなつた。これは、前記のような業務の性質や女子従業員の勤務の状況等にもとづくものであり、それ故、右の規定は、当時まで労働組合によつても当然のこととして認識され、支持されていたばかりでなく、同様の規定は新聞業界において広く一般的であつた。

(4) 二号嘱託制度(定年延長と年功型賃金制)

原告の所属する労働組合は昭和三九年一二月二八日、被告に対し、はじめて女子の定年延長についての要求を提出したが、被告は、これに対し、年功型賃金体系の改正と併せて検討する必要がある旨回答し、労使双方よりなる専門の検討機関において検討することを提案したところ、右組合もこれに同意し、昭和四〇年四月二〇日労使双方の委員よりなる女子定年問題小委員会が設けられた。

而して同委員会では、年功型賃金体系改正や女子従業員の定年延長等について検討を重ね、昭和四一年四月三〇日労使双方に中間報告を行うなどしたものの、賃金制度の根幹にかかる重要な前提問題が少くなかつたたため最終結論を出さぬままに終つたが、さらに労使で協議、折衝を重ねた結果、昭和四一年六月二〇日、女子の定年後再雇用について四一年協定が締結され、所謂二号嘱託の制度が行われるに至つたものである。

なお、右の制度が発足して以降、被告の社員たる女子従業員で定年に達したもののうち、二号嘱託として再雇用されることを希望したものは定年から再雇用までの期間は一か月ないし二か月余というように区々ではあるが、現在までのところ、すべて再雇用されており、その人員は九名にのぼつているが、本件訴が提起されるまでの間、現在在籍中の原告を含む二名を除き、すべて雇用限度期間満了をもつて円満に退社した。

右二号嘱託制度の内容は次のとおりである。

(イ) 被告は、原則として、定年退社した女子を、本人の希望と会社の事情を勘案して、二号嘱託として再雇用する。

(ロ) 右の再雇用にかかる嘱託の雇用期間は一年以内とするが二年以内を限度として更新することを妨げないものとする。

(ハ) 右嘱託の給与は、退社時の本俸及び第二本俸の六〇パーセントを目安として本人の資質、能力、新職種などを勘案して被告において決定するものとする。

(ニ) 右嘱託が従事する職務の種類は、工務系の場合は解版、補給、清掃等とし、総務系の場合は受付け、見学案内、清掃等とする。

(5) 男女同一の定年制

昭和四五年組合から男女共定年六一才とせよとの要求があり、昭和四八年一月経営協議会の下部機関として賃金委員会を設置し、昭和五〇年一月まで一〇回の会合を開き検討し、同年二月一〇日から同年三月末日まで団体交渉を行い、年功型賃金体系に職能給を加味する体系を作る見とおしがつき、また新聞製作技術の変革により高令の女子従業員の職務開発等も可能になつたので、昭和五〇年八月一三日男女とも定年を五八才と定めた(但し経過規定がある。)。昭和五七年三月以降は完全に男女の定年が五八才となつた。

なお、昭和四七年無夫の女子の定年を四七才に、昭和四八年有夫の女子の定年も四七才と改められた。

(6) 以上のとおり、女子従業員の仕事は単純な補助的事務であるところ、これに年功賃金体系を適用すると、事務の性質に比較し、高額の賃金となり、複雑な重要な仕事をしている男子従業員の賃金と権衡を失することになる。二号嘱託制度は、年功賃金体系の改正がなされるまで、補助的事務に従事する満四五才以上の高年令の女子従業員を企業内にとどめようとするものであり、この点に重要な意味がある。

よつて、被告の女子定年制度は、社会的認容性の範囲内にあり、適法である。

2再抗弁2は争う。

七  再々抗弁

1定年制の瑕疵の治癒

仮に百歩を譲つて、本件就業規則の女子従業員の定年に関する規定が民法第九〇条に抵触する余地が存するとしても、被告がその後、原告或いは同人の所属する組合との間で、右規定にもとづく取扱を是正するために成立させた契約或いは協定ないし合意はいずれも次のとおり民法第九〇条に抵触する余地がない。

被告は、昭和四六年三月三一日に原告が右の規定にもとづき定年退職した後、原告の所属する組合と次のような協定を締結し、或いは合意をなしたが、その都度原告はそれに従う意思を明らかにし、それにもとづき、被告と同趣旨の契約を行い、現在に至つている。

(一) 昭和四六年五月一日、被告は原告を嘱託(二号嘱託)として採用したが、二号嘱託とは、定年退職した女子が、本人の希望と会社の事情とを勘案して再雇用される場合の形態で、雇用期間は六ヶ月以内、契約更新による雇用限度は二年以内と定められ、職種も特定のものに限定されているものである。

そして、原告は、右の二号嘱託として、昭和四六年五月一日より、昭和四七年三月三一日まで被告の広告局内務部に勤務(途中昭和四六年一〇月一日契約更新)し、昭和四七年四月一日契約更新の際、総務局資材部勤務となり昭和四八年三月三一日まで同部に勤務(途中昭和四七年一〇月一日契約更新)したが、昭和四八年三月三一日の雇用限度時期を迎える直前、原告所属の組合から被告に対し二号嘱託の雇用限度を延長せよとの要求が出されたため、被告は右組合と協議し、同年三月三一日をもつて組合と、原告外一名について、二号嘱託としての雇用限度をさらに二年延長する旨の協定を締結した。

(二) 原告は、右協定成立直後、右協定に従う意思を明らかにし、昭和四八年四月一日付をもつて被告と二号嘱託としての雇用契約を締結して、同日より総務局経理部に勤務し、昭和四八年一〇月一日、昭和四九年四月一日、同年一〇月一日、と契約を更新した。

ところが、契約期間が昭和五〇年三月三一日をもつて終了する直前に、再度原告の所属する組合より、被告に対し原告外一名の二号嘱託としての雇用限度を延長せよ、との要求が出されたため、被告では、昭和五〇年四月一日同年五月一日と、小刻みに原告外一名と暫定的に契約を更新しながら右組合と協議を重ねたが、昭和五〇年一〇月三日に至り、被告と組合との間で、原告外一名の二号嘱託としての雇用限度時期を昭和五一年三月三一日とする旨の合意が成立した。

(三) 原告も、右合意成立直後、右合意に従う意思を明らかにし、昭和五〇年一〇月一日に遡つて、契約期間を昭和五一年三月三一日までとする二号嘱託としての雇用契約を被告との間で締結した。

ところが、再度、右の雇用限度時期を迎える直前、原告の所属する組合より被告に対し、原告を含む二号嘱託の雇用限度を延長せよとの要求が出されたため、被告は昭和五〇年一〇月三日に合意したことを半年もたたないうちに覆すことは、交渉経過を無視するものであり、不当であると抗議しながらも、労使関係の円滑をはかるため組合と協議し、昭和五一年三月三一日、右組合と、原告外一名の二号嘱託としての雇用限度を昭和五三年三月三一日とする旨の協定を締結した。

(四) 原告も、再度、右合意成立後、右合意に従う意思を明らかにし、昭和五一年四月一日、被告と二号嘱託としての雇用契約を締結して、同日より販売局発送部に勤務し、昭和五一年一〇月一日、昭和五二年四月一日、同年一〇月一日と契約を更新した。

しかるに、昭和五三年二月二八日に至り、またまた、原告の所属する組合より被告に対し、原告を含む二号嘱託の雇用限度延長と待遇改善に関する要求が出されたため、被告は、またも組合と協議し、昭和五三年三月三〇日、組合と、原告外一名の二号嘱託としての雇用限度を昭和五五年三月三一日とする旨の協定を締結し、かつ、二号嘱託の待遇改善策として社員と同率のベースアップ(それ以前は定期昇給抜きベア率を適用)を行う旨の合意を行つた。

(五) そして、原告も、右合意成立直後、右合意に従う意思を明らかにし、昭和五三年四月一日、被告と二号嘱託としての雇用契約を締結した。

右のように、被告が昭和四八年三月以来、再三にわたつて原告、或いは同人の所属する組合との間で成立させてきた契約或いは協定ないし合意は、いずれも前記の就業規則の定年に関する規定にもとづく取扱を是正するためのものであるから、仮に本件就業規則の規定に民法第九〇条に抵触する余地が存するとしても、それを是正する趣旨の右契約等が民法第九〇条に抵触する謂はなく、特に、昭和五三年三月に成立した右(四)、(五)の合意や契約は、原告外一名に五四才過ぎまで雇用され得る途をひらいたものであるから、民法第九〇条に抵触する余地は、まつたくないことが明らかである。

2和解

(一) 原告が昭和四六年三月末に定年を迎えて現在に至るまで、本件訴が提起された以外には、同人から被告に対し異議苦情の申立がなされたことや、二号嘱託としての辞令や給与等の受領が拒否されたこと、等が一回もなかつたことは、前記のとおりであるが、組合が被告に対し前記のように再三にわたって原告等の処遇との関連において女子二号嘱託の雇用限度期間や待遇に関して要求を提出したことは、原告等の意向と要求内容が完全に一致していたか否かは別としても、少くとも原告等の意向を受けてなしていたものには相違ないから、その意味において、右の要求等をめぐつて労使交渉が行われていた当時は被告と原告等との間にも、「民法第六五九条にいう争い」が存在していたと言うことが出来る。

しかし、その場合も、原告が前記のように二号嘱託の雇用契約の更新をなしたことは、被告と原告との間で、その都度、原告の処遇に関し和解契約が成立したことを意味する。

(二) 原告は二号嘱託の雇用契約には錯誤があつて無効である旨主張するが、争う。

仮に錯誤があつたとしても、原告には重大なる過失があるから、右主張をなし得ない。

(三) 従つて、いずれの点よりみるも、原告の本件請求は右の各和解契約に反し許されないものであることが明らかである。

3信義則違反と権利濫用

(一) 組合交渉との関係

(1) 原告が、審議室審査部に勤務した時期や二号嘱託となつた直後の一時期を除き、前記組合の組合員であつたことは、原告の認めるところである。

(2) 他方、およそ労働組合の組合員たる者が特段の事由が存しない限り組合の決定に従うべきことは当然であり、それに違反した場合に組合の統制に服さねばならないし、対使用者の関係において不利益を受けても救済され得ない。そして、組合が組合員の付託を受けてその処遇に関して使用者と交渉し、妥結した結果の如きものも、右の意味における組合の決定に含まれることは疑問の余地のないところであるから、組合員たる者が右の結果に従うべきことは論を待たないところである。原告は組合の交渉を無視して本訴を提起した。新聞労連の法対部長や組合の顧問弁護士が訴提起に反対の意向を示した。

(3) なお、被告は、本件訴提起前も、それ以降も、現在に至るまで、組合員の労働条件は組合との交渉で決定されるべきである、との考えのもとに、労使関係(組合員個々人との関係を含む)一切を処理して来ており、原告等の処遇についても同様の考えのもとに労使交渉によつて一切を解決してきている。

(4) 従つて、右(2)、(3)のような点を一切無視して原告が本件において行つている請求は、仮に本件就業規則等にもとづく制度に瑕疵が存するとしても、信義則に違反し、かつ、権利濫用に当り、許されないものと言わざるを得ない。

(二) 原告個人の関係

(1) 原告は、昭和四六年三月末に定年を迎えた際に異議なくその旨の辞令や退職金二三六万九五八〇円、功労年金七二万円(昭和四六年四月から昭和五一年三月まで、六〇回に亘り、毎回金一万二〇〇〇円ずつ)を受領し、その前後に二号嘱託として再雇用されることを希望し、かつ、その旨の辞令にもとづき異議なく二号嘱託として再雇用されたばかりでなく、その給与を受領し、定年退職後再雇用までの間、被告に就労を申出たことはなく雇用保険の給付を受け、その後、被告が同人の処遇との関連において、再三にわたつて、組合と女子二号嘱託の雇用限度期間延長や待遇改善に関する協約又は契約を締結し、或いは合意をなしたところにもとづく辞令や給与を異議なく受領し、右の協定等の締結や合意に先だち、被告が組合を通じて原告の意向を確認したり、速報を社内に広く配布したりしたにもかかわらず、何等の抗議も、意思表示もせず、その他、原告の処遇に関し、本件訴を提起した以外に何等の異議、苦情も申し立てたことがなく、苦情処理機関に申立手続を行つたこともない。

(2) それにもかかわらず、原告が七年間の経過を無視して本件請求をなしていること、並びに特段の意思を留保することなく前記協約等妥結結果にもとづく利益を享受し続けながら本件請求をなしていること、については、被告と原告との間の法律関係に限定して考察しても、権利の濫用に当たることは明らかである。

八  再々抗弁に対する認否

1再々抗弁1の事実中、被告主張のように組合と被告間で二号嘱託の雇用限度期間を延長する協定が締結されたこと、原告の二号嘱託雇用契約の期間が延長されてきたことは認めるが、その余は争う。

2同2の事実は争う。

仮に、原告が定年退職を承認し、二号嘱託雇用契約を締結したとしても、原告は本件就業規則三七条の女子定年制の規定が有効であると誤信していたのであるから、錯誤により無効である。

3同3の主張は争う。

但し、原告が被告主張の退職金、功労年金を受領し、被告主張のように二号嘱託の雇用期間が延長されたこと、本訴を提起したことは認める。

第三  証拠の関係〈省略〉

理由

(社員の地位確認請求について)

一請求原因1ないし3の各事実及び抗弁1(定年解雇)の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  再抗弁1(本件就業規則三七条の無効)について

1昭和四六年三月当時本件就業規則には、原告主張のように、女子の定年を満四五才、男子の定年を満五五才と定めた規定(三七条)の存したことは当事者間に争いがない。

2ところで、本件就業規則三七条は、女子の定年を男子の定年より一〇才低く定めているから、被告の企業経営の観点から、定年年令において女子を低くしなければならない合理的理由のない限り、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして、民法九〇条の規定により無効であると解すべきである(憲法一四条一項、民法一条ノ二参照)。

3そこで、以下、被告主張の合理性について検討する。

〈証拠〉によれば、次の各事実が認められる。

(一) 本件就業規則制定の経緯等

被告(明治三〇年一月一七日一力健治郎によつて設立され、昭和一七年有限会社、昭和二一年株式会社に組織変更された。)は、昭和一四年一一月はじめて社規により男子の定年を五五才、女子の定年を三五才と定め、昭和一八年出征男子のあとを補充するため、女子の定年を四〇才に引き上げた。昭和二〇年被告従業員が原告主張の組合を結成し、組合は昭和二一年被告と労働協約を締結し、昭和二九年四月一日これを改正し(二九年協約)、男子の定年を五五才、女子の定年を四五才と定めた。被告は昭和二九年七月一日本件就業規則を制定し、男女の定年につき右と同旨の定めをした。

(二) 二号嘱託制度成立の経緯

昭和三二年二月一日組合から男女同一定年の要求が出て、労働協約を改正しようということになつた。昭和三九年一月女子から男女同一定年の要望が出て当時の人事部長は善処する旨答えた。組合は、同年一二月女子定年を満五五才に引き上げるよう要求し、昭和四〇年三月一五日の団体交渉の席上で、被告の女子定年制が憲法一四条一項、労基法三条、四条の精神に反する旨主張した。同年四月労使双方の委員により構成される女子定年問題小委員会(会社側加茂人事部長、富田審議室長、組合側跡辺委員長、半沢書記長ほか)が設置され、定年問題を検討し、昭和四一年四月中間報告をし、以後定年問題を労使交渉に委すことにした。その当時、組合側は、本件就業規則の男女差別定年制の規定は憲法一四条一項、労基法三条、四条に違反する、四五才で定年退職した女子はその後の生活が困窮すると主張し、これに対し、被告は、男女間の資質、生理的条件、勤務状態等相違からみて、被告の定年制を一概に法律違反とはいえない、女子の定年を延長するには、被告の採つている年功型賃金体系の見直し(高年令の女子の労務の対価として賃金が高くなりすぎ、男子との権衡を失するので、職務給を併用する必要があるというもの)と高年令女子に適する職務の開発が必要であると主張した。しかしながら、昭和四一年中には、坂本トキ外の女子従業員が定年に達するので、同女らの処遇を如何にするかという切迫した事情にあつたため、被告は、暫定措置として、定年退職後の女子を二号嘱託として二年間雇用すると提案し、組合もこれに同意し、昭和四一年六月二〇日被告主張の如き内容の二号嘱託に関する四一年協約が成立した。当時雇用限度期限を二年としたのは、年功型賃金体系の検討に二年位かかるということにあつた。

(三) 女子定年制に関する組合の取組みと男女同一定年制の成立

(1) 組合は、昭和三二年二月一日被告に対し男女同一定年制を求め、昭和三五年日本新聞社労働組合連合(以下「新聞労連」という。)に加盟した。

(2) 昭和三九年三月東北地連青婦協学習会において男女差別定年制を取りあげた。当時東北地方では、岩手日報、東奥日報、秋田魁、山形新聞の各新聞社が、いずれも男女同一定年制を採用し、デーリー東北新聞社は事実上男女とも五四才の定年を採用し、被告のみが男女差別定年制を採つていた。同年四月一日新聞労連婦人集会が開かれ、男女差別定年制の問題を取り上げた。

その当時、従業員の組合が新聞労連に加入している新聞社で男女差別定年制を採つているのは、被告と高知新聞社だけで、他社は皆男女同一定年制を採つていた。

(3) 組合は、昭和四〇年一〇月組合の青年婦人部の中に、女子定年延長促進委員会を設け、女子定年延長運動を促進し、そして、二号嘱託制度発足後の昭和四三年の春闘において、被告に対し二号嘱託の雇用限度を満五五才とするよう要求し、昭和四五年以降は毎年男女六一才定年の要求をした。

(4) 被告は、その主張のように、その後労使委員よりなる賃金委員会を設置するなど、女子定年制の問題に取り組み、昭和四七年四月無夫の女子の定年を四七才に、昭和四八年三月有夫の女子の定年を四七才にそれぞれ引き上げ、昭和五〇年八月一三日男女の定年を満五八才とする旨(但し、経過規定がある。)就業規則を改正し、同時に、暫定措置として満五五才以降は、定期昇給を行わない、ベースアップは通常の方式で計算した総額の五〇パーセントとする、諸手当は普通のアップ額とする、昇格は行わないという賃金体系の修正をした(これは昭和五二年四月一日新賃金体系の採用により廃止となつた。)。昭和五七年三月から経過規定の適用もなくなり、男女定年が五八才となつた。

(四) 他社の定年制

昭和三九年一一月現在の各新聞社、放送局の定年制は次のとおりである。

(1) 男女とも五五才

北海道新聞、北海道放送、北海道タイムス、東奥日報、秋田魁新聞、福島民報、信濃毎日新聞、中日放送、名古屋タイムス、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞、東京タイムス、報知新聞、共同通信、NHK、東京放送、文化放送、ジャパンタイムス、日本短波放送、東京新聞、茨城新聞、神奈川新聞の各社

(2) 男女とも六〇才

新潟日報、北国新聞の各社

(3) 男女とも五七才

日刊工業新聞社

(4) 男五五才、女四五才

東北放送

(五) 被告における業務の特殊性等

(1) 被告の昭和四五年当時の組織機構は別紙(五)記載のとおりであり、編集局、工務局、印刷局等は新聞発行という業務の性質上夜間、深夜、午前三時まで就労することが多く、このような業務には女子は適しない。また、被告においては、管理部門、営業部門の中で、中枢部分は男子によつて占められており、女子は、おおむね一般事務系の仕事で比較的簡易なものに従事してきた(但し、終戦前は女子も男子にかわつて重要な業務に携つてきた)。

原告の入社以来の職務等は被告主張の別紙(四)記載のとおりであり、二号嘱託発令後も、発令前とほぼ同じ仕事をしている。

(2) 被告の女子従業員の数は、昭和四一年四月一日現在六二名、昭和四五年四月一日現在六二名、昭和五〇年四月一日現在五三名、昭和五七年四月一日現在六四名である。昭和五四年五月一日現在被告の従業員は、管理職員一三一名、普通社員五七三名、試用二一名、一号嘱託一五名、二号嘱託三四名、計七七四名である。

(3) 被告においては、昭和二九年頃までは、女子が結婚し或は四五才位になると退職していた。これが前提で、本件就業規則に女子定年四五才と定められた。しかしながら、前示のとおり昭和三二年頃からは、男女同一定年の要求が出て、定年延長の運動に発展した。

(六) 二号嘱託の雇用期間の延長等

被告は、組合の申出により、原告外一名の二号嘱託の雇用期間を、昭和四八年以来、被告主張のように延長してきており、その間ほぼ半年ごとに原告外一名の二号嘱託契約を更新し、現在に至つている。

以上の各事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

そこで、右認定事実に基づいて、被告の主張を検討してみるに、被告主張の業務の特殊性、退社の慣行が男女の定年を区別する合理的理由とならないことは、前示の各事実特に原告の業務が一般事務系に属し、普通社員と二号嘱託とで著しい相違がないこと、昭和三九年当時既に被告の如き大きな規模の新聞社においては男女五五才の定年制を採用していることに照らして明らかである。

被告は、二号嘱託制度の採用により、本件就業規則三七条の瑕疵が治癒され、被告の女子定年制が社会的に認容される限度内にあつた旨主張する。しかしながら、前記認定事実によれば、二号嘱託は、賃金が退社時の本俸及び第二本俸の六〇パーセントを目途に決められること、昭和四六年当時の雇用限度期間が二年であること等普通社員に比べ著しく雇用条件の低下を伴うものであり、また、二号嘱託制度は、前示のとおり、組合との協約に基づくとはいえ、男女の定年を同一にする前提として、年功型賃金体系の見直しをするための暫定的なものであるから(このことは、昭和四一年六月当時被告の人事部長であつた証人加茂貞雄が、年功型賃金体系の検討に二年位かかるということで、二号嘱託の雇用限度期間を一応二年とした旨の証言により明らかである。)、被告は相当な期間内に右賃金体系を改正し、男女同一の定年制を採用すべきことが要請される。したがつて、二号嘱託制度の採用は、かかる改正措置を採るに必要な相当期間内においてのみ、社会的に認容される余地がないとはいえないが、右相当期間を経過すると、二号嘱託の制度自体が存続の目的を失い、違法無効となるものと解すべきである。

被告は、昭和四一年六月から昭和四六年三月までの間、右改正措置を採つていないことは弁論の全趣旨により明らかであるから、昭和四六年三月当時二号嘱託制度は違法無効となり、これをもつて、被告の男女差別定年制を合法化することはできない。

よつて、本件就業規則三七条中女子定年部分は、専ら女子であることを理由として差別したことに帰着し、性別のみによる差別を定めたものとして、民法九〇条により無効であると解するのが相当である。

三  再々抗弁1(定年制の瑕疵の治癒)について

被告は、原告が二号嘱託として採用された後、その主張のように、組合との協定により二号嘱託の雇用期間を延長し、他の雇用条件も改善されたから、被告の女子定年制の瑕疵が治癒された旨主張し、そして、二号嘱託の雇用期間が延長されてきたことは前示のとおりである。

しかしながら、二号嘱託は雇用条件が改善されたといえども、普通社員に比べ、賃金が著しく低いことは後記のとおりであるから、とうてい右主張を採用することはできない。

四  再々抗弁3、4(和解、信義則違反)について

被告は、原告と被告との間で和解契約が成立した旨主張し、そして、原告が被告から、昭和四六年三月三一日定年退社の辞令の交付を受け、退職金二三六万九五八〇円を受領し、同年五月一日二号嘱託採用の辞令の交付を受け、その後五年間に亘り功労年金七二万円を受領し、前示のとおり二号嘱託の雇用期間を延長してきたことは、原告の自認するところである。

しかしながら、原告本人尋問の結果によれば、原告としては、当時止むを得ず右の各所為に出たものであつて、本件就業規則三七条や二号嘱託の制度が違法であることまで認識していなかつたこと、途中で右の違法を認識したけれども、生計を立てるため被告の取扱に従わざるを得なかつたことが認められるので、前記各事実をもつて、原・被告間に和解が成立し、又は原告の社員たる地位の主張が信義則に反するということはできない。

また〈証拠〉によれば、原告は組合が原告外一名の雇用期間延長問題を団交によつて解決しようと努力し、被告との間で雇用期間を昭和五五年三月三一日までとする協定の成立した昭和五三年三月一一日に本訴を提起したことが認められるけれども、何人も裁判を受ける権利を有し、これを妨げてはならないから、右認定事実をもつて直ちに信義則に反するということはできないし、他に原告が普通社員たる地位を有する旨主張することが信義則に反し権利の濫用になると認めるに足る資料はない。

よつて、右各主張はいずれも失当である。

五そうすると、原告は被告の普通社員たる地位を有するということができ、被告がこれを争つているから、その地位の確認を求める原告の請求は正当として認容すべきである。

(差額賃金請求について)

六 請求原因について

1原告が昭和四六年四月以降被告の普通社員たる地位を有していることは前示のとおりである。そうすると、被告は原告に対し、特別の事情のない限り、普通社員としての賃金を支払うべき義務があるというべきである。

2差額賃金の計算

〈証拠〉によれば、原告の昭和四六年三月三一日現在の給与は一か月金六万九〇〇〇円(本俸金四万五五五〇円、第二本俸金一万七八五〇円、待遇手当金五六〇〇円)であり、〈証拠〉によれば、原告の本俸、第二本俸、待遇手当は別紙(六)記載のようにあがつたこと(但し、昭和五四年四月一日、昭和五五年四月一日上昇分については、個々の内容を認めるに足る証拠がないので、止むを得ず組合員の平均昇給率によつた。)が認められ、これにより、昭和四六年四月から昭和五八年六月までの給与を計算すると、別紙(七)記載のとおり金二六五一万八〇五三円となり、これから原告自認の既払額計金一八〇二万一五三〇円を控除すると、残額は金八四九万六五二三円となる。

3差額賞与等の計算

〈証拠〉によれば、賞与(一時金を含む)の支給率は別紙(三)記載のとおりであること(昭和五八年六月は少くとも原告主張の支給率を下廻わらないことは被告の認めるところである。)が認められ、これにより前示給与額を基にして賞与(一時金を含む。以下同じ。)を計算すると別紙(八)記載のとおり計金一八〇九万六九六九円となり、これから原告自認の既払額金一一五六万八二九三円を控除すると残額は金六五二万八六七六円となる。

七 抗弁2(帰責事由の不存在)について

被告がその主張のように昭和四六年五月以降原告を二号嘱託として取扱つてきたことは前示のとおりである。しかしながら、本件就業規則三七条の女子定年を定めた部分、二号嘱託を定めた四一年協約がいずれも無効であり、そして四一年協約締結の経緯からみると、被告が四一年協約等を有効であると信じたとしても、その判断に慎重さを欠くから、これをもつて直ちに責むべき事由がないとはいえず、他に被告の帰責事由のないことを認め足る証拠はないるに。

よつて右抗弁は失当である。

八 抗弁3(消滅時効)について

被告主張の各賃金賞与請求権がその主張のように二年間の時効期間を経過していることは当裁判所に顕著であり、そして、被告がその主張のように消滅時効を援用していることは訴訟上明らかである。

しかしながら、無効である定年制を適用して原告を定年解雇とし、違法無効な二号嘱託として原告を処遇し、その間女子の定年を延長しながら、これを原告に適用することなく、違法状態を一〇年余りに亘り継続してきたのは、ほかならぬ被告自身であることは前示のとおりであり、これに原・被告間の地位関係等を合せ考えると、原告が権利の上に眠り権利行使を怠つたとして責を負わすことは、著しく公正の原則に反するということができ、結局被告の時効援用は権利の濫用として許されないと解するを相当とする。

よつて、右抗弁は失当である。

九 抗弁6(賃金等請求権行使の濫用)について

被告は原告の差額賃金等の請求権の行使が権利の濫用である旨主張するが、これが失当なことは前示八説示のとおりである。

よつて、右抗弁は失当である。

一〇そうすると、被告は原告に対し賃金(賞与一時金を含めて)計一〇五二万五一九九円及びこれに対する各履行期後である昭和五八年七月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、原告の賃金(賞与一時金を含めて)請求は右の限度において理由があり、その余は失当である。

(損害賠償請求について)

一一 請求原因について

前示の各事実によれば、原告は被告の一〇年余りに亘る差別的取扱いにより著しい精神的苦痛を受け、右の取扱いを排除するため原告代理人に依頼して本訴の提起を余儀なくされたことが明らかである。

よつて、被告は、民法七〇九条により、原告に対し、原告が右所為により受けた損害を賠償すべき義務がある。

なお、原告の損害賠償請求の訴の追加について、被告は異議を述べているが、右の訴は社員たる地位の確認、賃金等の支払を求める各訴と請求の基礎を同一にするから許されるといわなければならない。

そして、原告の右精神的苦痛を慰藉するには、前示認定の諸事情等を斟酌すると金一二〇万円をもつて、弁護士費用は本件訴訟の進行状況等に鑑み金一五〇万円をもつて、それぞれ相当とする。

一二 抗弁4、5について

被告は右損害賠償請求権が時効により消滅した旨主張するが、右は継続的な一個の不法行為であつて、いまだ時効期間が進行しない。

また、被告は、原告にも過失があつたから損害の算定につき大幅に斟酌すべき旨主張するが、これが失当なことは、前示九の説示に照らして明らかである。

よつて、右各抗弁は失当である。

一三そうすると、被告は原告に対し損害金二七〇万円及びこれに対する昭和五八年七月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、原告の損害賠償請求(但し、択一的に差額賃金(賞与一時金を含めて)相当の損害賠償を求めている点を除く。)は右の限度にお いて理由がありその余は失当である。

一四 結論

以上の次第により、原告の普通社員たる地位の確認を求める請求を認容し、原告の金員の支払を求める各請求は、前示の限度において、これを認容し、その余をいずれも失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条但書を適用し、仮執行の宣言は事案からみてこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(佐藤貞二 戸舘正憲 橋本英史)

別紙 (一)

賃金計算書

(単位は円)

給料

賞与並びに一時金

年度

普通社員

二号嘱託(原告が支給された分)

年度

普通社員

二号嘱託

差額

46.4

(前年度給料)(ベースアップ分)(本年度給料)

69,000   +  12,990   = 81,990

46.5~47.3

差額

46.6

37,796

276,629

225,677

88,748

47.3

81,990×12=983,880

44,170×11=485,870

498,010

12

27,597

298,766

183,779

142,584

47.4

81,990+13,350=95,340

47.6

22,068

313,740

197,753

138,055

48.3

95,340×12=1,144,080

53,650×12=643,800

500,280

12

368,317

219,067

149,250

48.4

95,340+17,960=113,300

48.6

417,220

243,990

173,230

49.3

113,300×12=1,359,600

62,350×12=748,200

611,400

12

499,530

290,635

208,895

49.4

113,300+37,880=151,180

49.6

576,713

329,383

247,330

50.3

151,180×12=1,814,160

81,900×12=982,800

831,360

12

644,720

367,600

277,120

50.4

151,180+28,720=179,900

50.6

671,650

376,600

295,050

51.3

179,900×12=2,158,800

95,600×12=1,147,200

1,011,600

12

719,625

403,500

316,125

51.4

179,900+24,380=204,280

106,300×12=1,275,600

1,175,760

51.6

771,108

425,239

345,869

52.3

204,280×12=2,451,360

12

815,258

449,767

365,491

52.4

204,280+26,130=230,410

117,400×12=1,408,800

1,356,120

52.6

860,882

462,983

397,899

53.3

230,410×12=2,764,920

12

894,315

479,874

414,441

53.4

230,410+23,570=253,980

53.6

925,336

496,130

429,206

54.3

253,980×12=3,047,760

129,410×12=1,552,920

1,494,840

12

982,753

522,148

460,605

54.4

253,980+26,820=280,800

54.6

1,023,980

545,336

478,644

55.3

280,800×12=3,369,600

143,080×12=1,716,960

1,652,640

12

1,095,416

581,467

513,949

55.4

280,800+29,120=309,920

55.6

1,155,656

718,506

437,150

56.3

309,920×12=3,719,040

189,700×12=2,276,400

1,442,640

12

1,237,744

766,124

471,620

56.4

309,920+31,080=341,000

56.6

1,280,400

781,028

499,372

57.3

341,000×12=4,092,000

204,730×12=2,456,760

1,635,240

12

1,353,540

821,669

531,871

57.4

341,000+32,020=373,020

57.6

1,380,718

825,619

555,099

58.3

373,020×12=4,476,240

219,390×12=2,632,680

1,843,560

12

1,435,520

854,419

581,101

58.4

373,020+27,980=401,000

58.6

555,099

58.6

401,000×3=1,203,000

231,180×3=693,540

509,460

小計①14,562,910

小計②9,073,803

以上合計①+②23,636,713

別紙 (三)

組合員平均の賃金のアップ率及び賞与支給率

給料

賞与(1時金)

時期

(昭和年月)

組合員平均アップ率(%)

時期

(昭和年月)

支給率

46.4

18.83%

46.6

{月収×313%+2万円

本給×40%+5000円(1時金)

46.12

{月収×340%+2万円

本給×30%十3000円(1時金)

47.4

16.28

47.6

{月収×306%+2万2000円

全給×20%+3000円(1時金)

47.12

月収×358%+2万7000円

48.4

18.84

48.6

月収×340%+3万2000円

48.12

月収×410%+3万5000円

49.4

33.43

49.6

月収×357%+3万7000円

49.12

月収×400%+4万円

50.4

19.00

50.6

月収×350%+4万2000円

50.12

月収×375%+4万5000円

51.4

13.55

51.6

月収×353%+5万円

51.12

月収×367%+5万4000円

52.4

12.79

52.6

月収×335%+(18才を5万5000円として

1才増すごとに600円)

52.12

月収×345%+(18才を6万2000円として

1才増すごとに1100円)

53.4

10.23

53.6

月収×315%+(18才を6万3000円として

1才増すごとに1200円)

53.12

月収×333%+(18才=6万7000円

1才増→2000円)

54.4

10.56

54.6

月収×310%+(18才=7万3000円

1才増→2300円)

54.12

月収×327%+(18才=8万円

1才増→2700円)

55.4

10.37

55.6

月収×305%+(18才=8万8000円

1才増→3400円)

55.12

月収×320%+(18才=9万8000円

1才増→4000円)

56.4

10.03

56.6

月収×300%+(18才=10万2000円

1才増→4200円)

56.12

月収×314%+(18才=10万8000円

1才増→4600円)

57.4

9.39

57.6

月収×292%+(18才=11万1000円

1才増→4750円)

57.12

月収×302%+(18才=11万4000円

1才増→5000円)

58.4

7.50

58.6

56年6月と同じ

別紙 (二)

賃金計算書

給料

ボーナス

差額

差額

46年4月から

47年3月まで

497,290円

46年6月

46年12月

148,470円

150,025

47年4月から

48年3月まで

499,440

47年6月

47年12月

127,357

149,001

48年4月から

49年3月まで

608,040

48年6月

48年12月

172,278

264,257

49年4月から

50年3月まで

826,800

49年6月

49年12月

247,042

275,600

50年4月から

51年3月まで

1,006,200

50年6月

50年12月

293,475

314,438

51年4月から

52年3月まで

1,169,640

51年6月

51年12月

344,069

366,869

52年4月から

53年3月まで

1,353,120

52年6月

52年12月

407,601

414,233

46年4月から

53年3月までの合計

①5,960,530円

合計

②3,674,715円

①+②=9,635,245円

別紙 (四)

原告の職務内容

被告の主張

原告の主張

番号

期間

部局

職務内容

認否

主張

1

21.4.9

~21.9

総務局文書課

健康診断を受ける従業員を

病院に案内する

期間、部局は認める

2

21.9

~24.7

業務局広告部

広告料の計算と入金処理

全部認める

但し単純、補助的仕事ではない。以下同じ

3

24.7

~27.4

業務局販売部

新聞、諸出版の代金請求、

入金処理(但し内勤)

右同

出張したこともある。

4

27.5

~37.3

業務部広告部

但し組織改正により同局同部内務課営業局計算部広告計算課

総務局経理部計算課と職場名変更

2と同じ

右同

5

37.4

~38.1

総務局経理部

会計課

社内経費の出納、部内の庶務

右同

6

38.2

~40.3

総務局経理部 計算課

但し組織改正により総務局経理部と職場名変更

2、4と同じ

右同

7

40.4

~44.3

審議室審査部

但し組織改正により文書課秘書部に職場名変更

稟議書の受付、回付、整理保管

厚生費の記帳等

右同

庶務一般等

8

44.4

~46.3

総務局経理部

2、4、6と同じ

右同

(以下は二号嘱託として)

9

46.5

~47.3

広告局内務部

2と同じ、接遇

右同

単純補助的な仕事ではない。

以下同じ

10

47.4

~48.3

総務局資材部

社内の消耗品とその伝票整理

右同

11

48.4

~51.3

総務局経理部

6、8と同じ

右同

広告料の入金処理

集金出張等

12

51.4

~現在

販売局発送部

県内各販売店に発送する

新聞等の伝票処理

右同

別紙 (五)

別紙 (六)

給与アップ一覧表

(単位は円)

年月日

定期昇給

本俸増

待遇手当

第二本俸

給与額

45.4.1

69,000

内訳 本俸45,5550

待遇手当5,600

第二本俸17,850

46.4.1

1,824

5,255

223

3,474

10,776

79,776

47.4.1

1,969

4,724

130

3,496

10,319

90,095

48.4.1

2,194

6,134

347

5,662

14,337

104,432

49.4.1

2,568

12,083

656

11,255

26,562

130,994

50.4.1

3,296

6,620

2,605

6,988

19,509

150,503

51.4.1

3,655

7,719

1,000

4,528

16,902

167,405

52.4.1

4,119

6,300

1,500

5,435

17,354

184,759

53.4.1

4,424

4,000

2,462

6,220

17,106

201,865

54.4.1

10.56%

21,316

223,181

55.4.1

10.37%

23,143

246,324

56.4.1

5,024

8,200

3,252

4,104

20,580

266,904

57.4.1

5,732

8,300

3,280

3,710

21,022

287,926

58.4.1

5,667

4,500

2,522

2,080

14,769

302,695

別紙 (七)

給与計算表

(単位は円)

期間

計算

46.5~47.3

79,776×11=877,536

47.4~48.3

90,095×12=1,081,140

48.4~49.3

104,432×12=1,253,184

49.4~50.3

130,994×12=1,571,928

50.4~51.3

150,503×12=1,806,036

51.4~52.3

167,405×12=2,008,860

52.4~53.3

184,759×12=2,217,108

53.4~54.3

201,865×12=2,422,380

54.4~55.3

223,181×12=2,678,172

55.4~56.3

246,324×12=2,955,888

56.4~57.3

266,904×12=3,202,848

57.4~58.3

287,926×12=3,455,112

58.4~58.6

302,695×3=908,085

26,438,227

別紙 (八)

賞与計算表

(単位は円)

時期

種類

計算

46.6

賞与

79,776×3.13+20,000=269,698

一時金

79,776×0.4+5,000=36,910

46.12

賞与

79,776×3.4+20,000=291,238

一時金

79,776×0.3+3,000=26,932

47.6

賞与

90,095×3.06+22,000=297,690

一時金

90,095×0.2+3,000=21,019

47.12

賞与

90,095×3.58+27,000=349,540

48.6

104,432××3.4+32,000=387,068

48.12

104,432×4.1+35,000=463,171

49.6

130,994×3.57+37,000=504,648

49.12

130,994×4.0+40,000=563,976

50.6

賞与

150,503×3.5+42,000=568,760

50.12

150,503×3.75+45,000=609,386

51.6

167,405×3.53+50,000=640,939

51.12

167,405×3.67+54,000=668,376

52.6

184,759×3.35+55,000+(51-18)×600=693,742

52.12

184,759×3.45+62,000+(52-18)×1,100=736,818

53.6

201,865×3.15+63,000+(52-18)×1,200=739,674

53.12

201,865×3.33+67,000+(53-18)×2,000=809,210

54.6

223,181×3.1+73,000+(53-18)×2,300=845,361

54.12

223,181×3.27+80,000+(54-18)×2,700=907,001

55.6

246,324×3.05+88,000+(54-18)×3,400=961,688

55.12

246,324×3.2+98,000+(55-18)×4,000=1,034,236

56.6

賞与

266,904×3.0+102,000+(55-18)×4,200=1,058,112

56.12

266,904×3.14+108,000+(56-18)×4,600=1,120,878

57.6

287,926×2.92+111,000+(56-18)×4,750=1,132,243

57.12

287,926×3.02+114,000+(57-18)×5,000=1,178,536

58.6

302,695×2.92+111,000+(57-18)×4,750=1,180,119

計  18,096,969

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